仮面舞踏会【短編二編】
『どうしてなの?私のどこが嫌いになったの?』

『僕は、もう君を愛せない。申し訳ないが帰らせてもらう。

もう少し冷静になれたら会って話し合おう』

(ここで引き止めなければ あの日と同じになってしまう)

絵梨香は、せめて理由だけでも知りたかった。

『今話して!あなたに嫌われる事した?

言ってくれないとわからないじゃないの!』

あの時よりもショックに感じるのは何故なのだろう?

『僕は、君という人が解らなくなったんだよ。

信じられなくなったんだ』

『理由を聞かないと納得出来ない。

突然別れようだなんてどういう事?』

『黒木京香さんのことだよ・・・・』

(やはり京香だったのね。駿を私から奪う何かをしたんだわ。

でも今の京香は、私が駿と付き合っているのを知らないはずなのに)

『まだ解らない?

君は京香さんに婚約者がいると僕に言ったけれど、嘘だったんだね。

僕は真剣に君を好きだった。

でも、どうやら表面上の君しか見ていなかったようだ。

計画的に僕に近づいてくる他の女性と同じだとは思いたくないが、

もう君を愛せない』

そう冷たく言うと足早に去ってしまった。

絵梨香は、呆然と立ちすくんでいた・・・・

過去に戻っても結城 駿の心を取り戻せなかった。


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