仮面舞踏会【短編二編】
凍えそうなほど寒かったが、

絵梨香は激しい怒りで、まったく寒さなど感じなかった。

そのまま京香のマンションへ急ぎ足で向かうと、

入り口のインターホンを押す。

『私よ・・・絵梨香』

オートロックが解除されると、

絵梨香は急いで4階の京香の部屋へ向かった。

京香は不思議そうな顔をして中へ招き入れた。

『どうしたの?こんな時間に・・・』

『ちょっと確かめたいことがあるの』

『何かしら?確かめたいことって』

絵梨香は、京香の両手首を掴んで引き寄せた。

京香は突然のことで驚いたが、手首にブレスレットはなかった。

『あなた・・・・碧の占い館へ行ったでしょ』

『何?碧のうらない館って・・・・』

『このカレンダーを使って過去へ戻り、私から駿を奪ったのね』

『結城さんを絵梨香から奪った?

あなたたち付き合っていたの?

それに過去へ戻ったとかって いったいどういうこと?』

『とぼけないで!!京香のブレスレット・・・碧の館に落ちてたわよ!

せっかく過去へ戻って駿との関係を修復しようとしたのに!

京香が妨害したんでしょ!』

絵梨香はポケットから、さっき館で拾ったブレスレットを出そうとしたが

確かに入れたはずのブレスレットがなくなっている。

『ブレスレット?』

そう言うと京香は、部屋の奥へ行くと

小さな宝石箱を持ってきて絵梨香の前で開けて見せた。

『もしかして・・・・前に見せたこれのこと?』

そこには、さっきまで確かに絵梨香の掌にあった金とダイヤのブレスレットが輝いていた。

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