仮面舞踏会【短編二編】
『この曲・・・・・ハチャトゥリアンの仮面舞踏会?』

その曲に誘われるがままに薄暗い照明の古びた館の今にも壊れそうな扉を開けた。

『間違いないわ・・・・ここから聴こえてくる』

京香は恐る恐る中へ入っていった。

『碧の館へようこそ・・・・・こちらへどうぞ』

ひとりの美しい女性が、案内をしてくれた。

エントランスの奥には階段がある。

女性は階段の横のドアを開けて中へ入るように誘導した。

『さあ 中へ入ってお座りください』

ローズベルベットの布張りのアンティークチェアーに座る。

『あの・・・・このメモを拾ってしまって、

悩みを解決してもらいたくて来ました。どうか占ってください』

京香はどうにもならない想いを全て女性に打ち明けた。

占い師は、水晶玉をじっと見つめはじめた。

『彼は、とても誠実です。今までの彼への気持ちを大切にしてください』

『ではなぜ私と友達の仲を引き裂くような行為が出来るのでしょう。

正直今は彼への気持ちも、

彼から言われたことも全て記憶がなくなればいいとさえ思っています』

『心配しなくても、

彼を信じて友達を大切にしていれば必ず時間が解決してくれます』

京香は、不思議ともやもやした気持ちが晴れていくような気がした。

京香は、お金を払うと、碧の館を後にした。

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