仮面舞踏会【短編二編】
『彼女の望みどおり嫌な記憶はお前によって全て消去されたのだよ』

老婆の声が絵梨香を責めるように聞こえてきた。

『思いやりの心があれば、

何もしなくても時間が解決してくれるようになっている。

お前が妬んだり、疑ったりしていた彼女は、

お前のことを心から友達として大切にしていた』

絵梨香は耳を塞ぎたかった。

『まだ終わってはいないよ』

大きな鏡のスクリーンには、再び映像が映された。

今度は見覚えがないカフェの光景から始まる。


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