仮面舞踏会【短編二編】
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『そうなの?愛ってば結婚するんだぁ~いいな~』

高野由佳の声だ。京香もいる。

どうやらユウキベンチャーキャピタルの

数人の女子社員のランチタイムの光景らしい。

『ねぇ!結婚したら仕事辞めるの?』

『そうね。子供が出来るまでは働くつもり・・・』

『私は、結婚したら仕事は辞めたいな』京香の声だった。

『そうなんだ。でもその前に京香は相手がいないじゃないの。

はやくいい人見つけなさいよ』

『京香って理想が高くて なかなか彼氏が見つからないのよ』 

由佳が答えた。

『大学の頃、何回も合コンしたのに誰とも付き合わなかったのよね』

『理想なんか高くないわ。好きになれる人がいなかっただけ』

『絵梨香なんか何人の男を泣かせたか わからないっていうのに・・・

対照的だよね!京香は・・・』

少し離れた場所に結城 駿の姿があった。

彼は気付かれないように席を立って、店を出ていった。

会社へは戻らずに FUNスポーツセンターへ入って行く。

そしてまっすぐ受付へ行くと女性の事務員が話しかけてきた。

『こんにちは結城さん!ご用件は何でしょうか?』

『ちょっと調べていただきたいことがあるんです』

『どんな事でしょうか?』

『片倉絵梨香さんのことです。彼女の入会日と、紹介者を教えてください』

『畏まりました。少々お待ちください』

しばらくしてから女性が戻ってきた。

『片倉絵梨香さんの紹介者はいません。入会日は・・・・・・』

入会日は、ディナークルーズで初めて会ってから2日後のことだ。

結城 駿の表情が冷めていくのを映像でも捉えることができた。


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