仮面舞踏会【短編二編】
真奈美は朝の光の中で うとうとしていた。

今日は日曜日だ。

隣の里緒の部屋からは携帯電話の着信音が、

けたたましく鳴り響いていた。

ようやく起き上がってカーテンを開けた。

外は雪景色だ!!

『うわ~綺麗』

思わず窓を開けてベランダに積もった雪を手に取ってみた。

握り締めた拳の中で溶ける感触が心地よい。

街は白一色に塗られた水彩画のようだ。

『おはよう真奈美』 

昨日とはうって変わって機嫌のいい里緒が起きてきた。

真奈美が振り返ると里緒の時間だけが止まったように

真奈美を見つめたまま動かなくなった。

『おはよう里緒。見て! 雪よ。

昨日の夜だけで こんなに積もったのよ』

そう言ってはしゃぐ真奈美の表情は、

あきらかに昨日までの彼女とは違っていた。

雪景色を背景に浮かび上がる被写体の彼女は、

妖精のように可愛らしくも見えたし、ヴィーナスのように美しくも見えた。


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