仮面舞踏会【短編二編】
『どうしたの?里緒。』

『あなた・・・真奈美なの?』

まるで他人のようによそよそしい態度だ。

『何を言ってるの?大丈夫?変だよ』

『変なのはあなたのほうよ!別人のように綺麗になって!!』

真奈美は、思い出したようにベッドの横のドレッサーへと向かった。

そして一呼吸するとドレッサーの鏡ではなく、

目の前にあった手鏡を恐る恐る覗いてみる・・・

なんという美しい女性なのだろう!まるで他人を見ているようだ!

今度はドレッサーの鏡を覗いてみる。真奈美は頬に手をあててみた。

感触がある。目の前の美しい女性は自分なのだ!

里緒は、まだ呆然としていた。

今朝の真奈美には神秘的な美の女神のような気高ささえも感じられる。


誰もいないリビングでは、さっき何気なく里緒がつけたテレビから

女性キャスターが深刻な表情でニュースを伝えていた・・・

・・・昨夜、強盗殺人容疑で指名手配中だった男が交通事故で死亡・・・

・・・被疑者死亡のまま書類送検・・・・・。

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