【ND第1回】はじまりは君の隣で
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1日目
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期間限定の恋1日目。
毎回のように遅刻しちゃうあたしは今日も遅刻しちゃいそうになってます。
「やばいっやばいっやばいっ」
パンにかじりついて牛乳でお腹の中に押し込める。
髪だって適当に手ぐししただけで、エレベーターなんて待たずに慌てて階段を駆け降り外に飛びでたあたしは、目を疑った。
「な、なんでいるの!?」
朝練のため早く出かけたはずの龍之介が、ジャージのまま自転車を跨いでマンションの前にいたから。
そりゃあ驚くでしょ。
「なんでじゃねーって、早く乗れ」
相変わらず、偉そうだけど龍之介熱でもあるんじゃない?
わざわざ学校からあたしを迎えに龍之介が来るなんて考えられないもん。
あたしは大人しく自転車に跨ぐと龍之介の肩に手を置いた。
「ねぇ…なんで迎えになんて来たの?」
素直にありがとう、と言えばいいのに可愛くないあたしは風に髪をなびかせながらそんなことを口にしていた。