【ND第1回】はじまりは君の隣で
「じゃあ、どういう意味だっていうの」
「つまり、彼らにとってそれはそれは都合のいい理想の女性像を、あなたは求められていたんだよ」
よくわからない、と目を赤くして首を傾げる彼女に、わたしはさらに説明をする。
「たとえば、気配りが完璧で、愚痴にも嫌がらず付き合ってくれて、彼らを一番に考えてくれるといった」
「ああ、もう、そんな男、忘れる」
わたしの言葉を遮って、そう大きな声を出すと、彼女は抱いていたクッションを床に叩きつけた。
気が済んだ、という合図だ。