【ND第1回】はじまりは君の隣で

「わたし、今日急いでるから」

わたしはそう断ると、おかしなことが起こらないうちにその場から逃げ出した。

飯岡、と槙に呼ばれたような気もしたけれど、無視して下駄箱のある昇降口に向かった。

そして、わき目もふらずに校門を出ると、やっと一息つき、一度だけ校舎をふりかえった。

わたしは、ゆっくりと歩きだす。


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