君の隣の!
「おーい!そこのー!長髪真っ黒ぱっつんー!」

「なんだいー?」

「いいかげん名前を教えてくれ。呼びにくくて。」

入学してもう三日経ってるぞ。

「おーけー!私は次期坂巻神社第56代当主、坂巻美鈴さっ!」
「かたっくるしい肩書きだな!つまりは次の神社の当主だろ?」

「うむ!それにしてもアリス、よくマラソン中に平然と喋れるな!」

「悪魔ですから!」

そう、今はマラソン中。
俺はこいつらをただ眺めてるだけだった。

最低1000m、行ける人はギブアップするまでという
体育教師からの課題だった。

俺は1000mでやめたさ。

疲れるし、まだ午後の授業と部活も残っているし。

あいつらはもう2000は走ってるだろう。
よく息切れもせず…

「あーもうダメさっ!ギブー!」

坂巻がばたりと地面に倒れこむ。

「…このへんで終わりにしとくか。人並みに人並みに。」

十分人並みじゃない。
どんだけ体力あるんだ

「わーぎぶあっぷー」

わざとらしいセリフを吐き、同じように倒れこむ。

「お前らいい持久力持ってるな。マラソン大会とか興味ないか?」

「血が足りなくなるから無理です。」
「めんどくさそうだねー。やらないっさ。」

あぁ、また未来のマラソン選手が二人消えた…とボソボソ言いながら授業終了の号令が響いた。
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