戦国に埋もれし儚き恋
「李由でございます」
鈴のような声だと思った…
おなごの美しいや美しくないなどというのは分からないが、ただ目の前にいる御方は美しいのだというのは分かる。
化粧など要らぬ白く透き通る肌はこの世の者か疑いさえ覚える……
己の名を名乗るのにこんなに緊張したのは初めてだった。父は私が緊張しているのに気付かれたのか不覚にも少し私の方を見てニヤリと笑うのだ。
将軍様に言われ、
李由姫様と城の庭に出ると姫様はそれが自然のように悲しそうに塀を見た。気付いた時には外に出たことがないのか、と噂を確かめていた…
その質問に答える姿は羽をもぎ取られた鳥のようで単純に“可哀想”だと思った。