戦国に埋もれし儚き恋


加藤様は厳しい顔に似つかわしくない優しい表情を浮かべ
「李由姫様は覚えてらっしゃらないかと思うが…倅(セガレ)の巧哉(コウヤ)です」
そして、
その後ろに居られる、姫様と同じほどの殿方は一つ前に出て


「巧哉でございます」
と頭をお下げになります。



お父上様は
「立派に大きくなられたな。そして勇ましくなった」
と巧哉様を褒めて加藤様と国のことをお話し始めました。



巧哉様が、ただじっと…
姫様の偽りの笑顔を見ていられたのを知っているのは私だけでしょう






――――これが御二人の出逢いでございます。









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