戦国に埋もれし儚き恋
三、人の為と偽る

<side 巧哉>

なんとも甘く穏やかな夜が明けてから、目が覚めると腕の中に李由姫様が眠っていることに気付き自然に頬が緩む。寝顔に軽く口付けると私に抱き付いてくる…私の愛しい人。


『姫様、起きてください』

うっすらと目をあけて
「こ、うや…様?」
と呟く姫様はハッとすると顔を真っ赤にしてから布団を目の下まで上げて

「あ…の、おはようございます」
と照れたように言う。


その姿を見て友人の惚気話で「好きな女には触れたい」と言っていたのを思い出す。あの時は全くその気持ちは分からなかったのに今はその言葉に頷きたい…

『おはようございます』

姫様の額に口付ける私はどうかしてしまったのだろうか?



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