戦国に埋もれし儚き恋


橋をジッと……見つめていると、姫様が何か仰っていたようだが聞こえなかった。

『姫様、行きましょう』

姫様を連れて橋の上に立つ。
桜の花びらが風に吹かれて、ユラユラと踊るように散っていく………

『姫様に渡したい物があるのでございます』

「渡したい物ですか?」

『はい』


心臓がドクン、ドクンと打つのが分かる…緊張しているのだ
姫様の手に一瞬だけ口付けてそれを包んだ布を渡す。

「こ、れ…は?」

『母の簪でございます』

ゆっくりと布を開き…姫様は俯いた

「……貰っていただけますか?」


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