戦国に埋もれし儚き恋
<side 沙菜>
今か今かと李由姫を帰りを待ち裏口の方を見ていると姫様の着物の裾が見えたので、駆け足で裏口にむかうと
「李由姫様?」
と巧哉様の声が聞こえた。
その瞬間に姫様の着物がスッとまた外の世界に引き込まれていく……
その外の世界では李由姫様と巧哉様が
甘い口付けをしていた――
それは私の知っている一国の姫ではなく、ただの恋をする女の顔でございました
「巧哉様…離れたくありません」
私以外に甘える姫様
女の顔をする姫様
はまさに満開の桜でございます。
私はただ…
散りぬように願うばかり
『李由姫様、巧哉様?』