戦国に埋もれし儚き恋
<side 李由>
愛しい
この気持ちは胸のどこから溢れ出てくるのだろう?
私は……抑えようのない胸の心地いい痛みに涙がこぼれた。
『巧哉…様』
息を吐くように、無意識に出てくる名前
「李由」
不意に父上から呼ばれた。
『はい』
「話がある」
『…はい』
――――籠の中の鳥は空に羽ばたく鳥を恋い焦がれることも許されないのだろうか?
「来週、隣国と宵の席を設ける。お前も同席しなさい」
『…』
「李由」
『……はい。父上、私でないといけないのでございますか?』
「お前はこの国の姫だ。そして我が娘ながらお前は美しい…私の可愛い娘だ」
ふぅ…と息を吐く父上はどこか悲しげで息が詰まりそうになる
「だか、私はこの国を…国民の命を背負っている」