戦国に埋もれし儚き恋
<side 李由>
父上に言われ…加藤様の息子の巧哉様を庭に案内することになった。
「李由姫様は噂通り、外を見たことが無いのですか?」
愚問だ……
私(ワタクシ)がどんなに外の世界に恋い焦がれようとも私は死んで魂とならぬ限り、この城からは抜け出せない。
『えぇ…。巧哉様はたくさんの国を見てこられたのですか?』
「はい」
羨ましいと思った。
いや、妬(ネタ)ましいと思ったからなのであろうか…
「私はこの国の人々を守る為に剣を研(ミガ)き、旅をしているのです」
その言葉に私は
『外の世界を知らぬ私にとって戦で国がどうなろうと関係のないことです…戦が私を殺して自由にして下さるなら、これ以上望みません』
と言っていた―――