戦国に埋もれし儚き恋
<side 李由>
「李由姫様…大丈夫でございますか?」
女中が部屋を何回も出たり入ったりと…… 一日中布団から出ない私を心配する声が聞こえるが身体を起こすのも億劫だ。
目を瞑ると、昨日の出来事が頭の中をぐるぐると支配する。
―――…‥
父上に連れられて隣国との宴の席に出席した。何を祝うのか…などと問うことなど愚問だ
『李由でございます』
「隆心です」
“大きな男”だと思った…
巧哉様は見た目はすごく細身だからか、この男がやけにがっしりとしているように見える。
「李由様は噂通りの美しさで驚きました」
豪快に頭を掻きながら頬を染めて笑う目の前の男は差し詰め……桜の幹と言ったところか