戦国に埋もれし儚き恋
『ありがとうございます』
嬉しくもない
「互いの国に幸あることを」
隣国を治める…これまた大きい熊のような男の言葉を合図に宴は始まった。
国になど興味はない
ただ…
巧哉様に幸があれば
「李由…」
『はい、父上』
「隆心殿がお前に見せたい物があるそうだ…後で行きなさい」
『はい』
特に何も思わなかった…
私の機嫌をとろうとしているのだろう、と思っていた。
「李由様、こちらへ」
手招きする“大きな男”
あれほど…
消えたい、と思った瞬間はない