戦国に埋もれし儚き恋
「姫様…」
魂が抜けたように呟きながら姫様の元に来る巧哉様。
隆心様が家臣に手をかけているのも生々しい音も……私が息をする音さえも…どこかに消えてしまう、そんな感覚でした。
ただ…………
時が止まったような御二人の空間の中に私は居た。
「姫様?」
「巧哉様…」
李由姫様の頬に恐る恐る触れる、巧哉様の頬には涙が幾筋にもゆっくりと流れている
「泣かないで下さい、巧哉様? 私は巧哉様に涙は似合いません」
「しかし…」
「大丈夫です。自由になるだけでございます」
―――――“自由”