戦国に埋もれし儚き恋
『……巧哉様は花は満開が綺麗だと思われますか? 私は満開を美しいと思ったことがないのです。全ては散り際…いえ、散る姿こそが美しいと思います』
「散りゆく花」
『はい、全て…国もそうです。散りゆくものは美しい』
「そなたは散りたいのですか?」
『…?』
首を傾げる私に
「とても羨ましそうな顔をしている」
と言って…桜に視線を向けるのだ。
『私は死んで初めて外に出られるのです』
聞こえているのか、いないのか…
巧哉様はそれから一言も発することなく桜を見つめ続けている。その横顔はとても綺麗で…初めて散りゆくもの以外に美しいと思った。