ACcess -弥猛-
私はメールボックスを開ける。

友人からのメールを見返した。
「…私が意味をあげる、と言ったらどうする?」
「…えっ?」
「どんな些細な事でも、意味を与えたら貴方はこの世界で存在する、というなら…私が貴方に意味をあげる。」
「…どういう事?」
「フフっ。いやね、ただの頼まれ事なんだけど。
 引き受けてくれるかしら?そうすれば当分は生きていけるでしょ?」

彼女は私をジッと見つめたまま考えていた。
「何もしないわよ。
 それに、ここであった事は忘れるから。だから貴方は私に今まで通りに接してくれればいいし、私も貴方の事を普通に接する。
 これからもう会わないかもしれないけど…。とにかくあんな事もう言わないわ。」

ごめんなさいね、と言うと彼女は目線を反らした。

反射的にその目を追い、少し覗き込んだ。

少し顔を反らせた。
あぁ、そう。
「招待状送るから、それ持ってドラゴン広場まで。
 お迎えが来るまで待っててね、じゃあ。」

私は仕事に戻る為に、部屋を出ようとした。
「…忘れたの。」
「えっ?」
「人との接し方、付き合い方…全部忘れたの。だから、感情のコントロールが上手くいかない。
 …アナタ、なんで怒ってるのって、アタシに言ったでしょ?」
「あぁ、そんな事。別に、ただ聞いてみたかっただけ。
 私も人付き合い苦手だから分かるわ。」

ニコリと微笑むとそれに彼女も返す。

なんだか貴方とは分かり合えそうな気がする。
< 18 / 43 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop