淡愛キャンディー。
「...痛いバカ」
あたしを包む腕は、
本当は痛くなんてない。
...ただただ、
...暖かい。
「なぁ、
...俺はあの時何を欲しかったと思う?」
「...何それ?」
あの時、と言われ
今自分と同じ考えをしていたこいつに少しだけ驚く。
だけど、あの時、と
こいつが言った子供の頃のあのちっぽけな話なんて
今まで一度だってしたことがないのに、どうして今更のようにしてくるのか...
こいつの意図が全くわからない。
「いいから、答えろ」
意味不明、と
ぼやきつつも見えないあいつの真剣な声に怯んで
頭で答えを探した。