蜜月 -love is ruffian-【BL】
「兵藤くん、おはよう」
「咲都ぉ……、おはよう……」
俺は、甘かった。
咲都の為だけに、腕によりを奮って。
咲都の為だけに、ありったけの愛をこめて。
そして何より咲都に「兵藤くんのご飯、美味しいね」って笑ってもらいたくて作った朝飯が。
堤に、全部平らげられてしまった。
堤が美味そうに食べてくれるのが嬉しくて、どんどんお代わりをよそってあげていたら、いつの間にか鍋の中身が空っぽになっていたという始末。
勿論、咲都に食べてもらうお弁当の分など、微塵も残っていなかった。
堤が朝練に出掛けた後、お弁当一つ作れる時間はあったけど、材料が……殆ど底を尽きていた。
さすがに材料を買いに行く時間までは無くて。
仕方無く余った時間で洗い物を済ませて、咲都のもとへやって来た、という訳だ。