蜜月 -love is ruffian-【BL】
まさか咲都が外で俺を待ってくれているとは思わなかったから、一直線に続く廊下の先に咲都の姿が見えた時は嬉しかったけれど。
今の俺の、心の虚しさには敵わない。
「咲都、ごめん……。待った……?」
「いつもこれぐらいの時間に出てるから、全然問題無いけど……」
咲都が首を傾げて、俺を見ている。
変なとこでもあるのか?
一応、寝癖とか直した筈だけど……。
シャツのボタンも掛け違えてないし……。
「兵藤くん、朝弱い?」
「え……苦手ではないけど……」
「そっか。でも、昨日より大人しいから」
変なの、と小さく笑って、咲都は歩き出した。
朝っぱらからいちいち可愛いよ……!
「……一緒に学校行くんじゃないの?」
「ごめんごめん!一緒に行きたいです!」
咲都の笑顔は、俺にとっての究極の特効薬。
朝飯は、また作ってやればいい。
今が、大事。
寮と学校を結ぶ道のり。
また、咲都と一緒にこの道を歩けたことに俺は、幸せを噛み締めた。