以心伝心! 志氣高校 洋将棋部
 「嘘っぽいんだよな」
 と、僕は屋上のフェンスに肘を乗っけて呟いた。

 嘘っぽいのはさぁ、たぶんね……
 『彼らの優しさや笑顔が、大人とか世間に強要されたモノだから』なんだろう。そして彼らはそれが強制されたモノだった事すら、もう忘れてしまったんだ。

 だってそうだろう?

 何で100人が100人、こんなに楽しそうに生きてるんだ?


 「まったく、イコライズだよ…」
 僕はまた独り言を言う。

 そうさ、イコライズ(平均化)。
 
 子供達はすっかりイコライズ(平均化)されてしまったんだ。
 彼らのあるがままの真心は、世間(大人達)によって毒され隠匿されてしまったんだ。
 「楽しく生きよう」
 「人に優しくよう」
 「異性を愛そう」
 僕等は『それこそが正義だ』と大人から教え込まれている。
 ニューミュージックやら、ドラマやら、恋愛小説から、そういう洗脳を受けている。


 「まったく…」

 まったく、やれやれだ……
 
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