以心伝心! 志氣高校 洋将棋部
 けれど姉は性格として、相手の不平は許さない。

 「アンタは家賃払ってないじゃん!」
 と、姉は、すかさずテーブル代わりのスツールを叩いて怒りを表した。

 「何よ! 本当は一人暮らししたいのよ、私だって! 素敵なキャンパス・ライフ(大学生活)、弟と同居なんかしたくないのに我慢してあげてるのよ?」



 「ほとんど帰ってこないじゃないか」と、僕は思った。
 けれど、僕がいるせいで外泊が多いのかとも思うと、確かに肩身が縮こまる思いがある。居候の身としては辛いところだ。

 どんな環境にせよ、高校1年の小僧が一人暮らしさせてもらっているだけで十分満足すべき事なのかもしれない。


 
 「…なんでさぁ」
 姉は声のトーンを落ち着かせた。
 それはもちろん。一言皮肉を言われたぐらいで本気で怒ったワケではない。いくら彼女が直情的な人といえども……

 「なんでさぁ。なんで、そんなに一人暮らしがよかったの?」

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