以心伝心! 志氣高校 洋将棋部
 いや。
 「両親が嫌いだった」と言っても、高校生になった僕はもう少し客観する力がある。

 僕にだって、その僕の両親への倦厭感が、不当なものであるのは分かっている。

 別に彼らは悪い人ではない。
 どう考えても。


 “世間”に溢れる美談が言うように、家族は大切にするべきだ。
 “世間”に鳴り響く、幸せ顔をしたミュージシャンの歌のように、親には感謝すべきだ。
 
 そんな事、ごまんと承知している。
 

 
 ………けれど。
 ここで大切なのは、僕がその“世間”とやらに何の価値を見出せない事であった。
 

 だから、そんな“世間”がポップ・ミュージックや小説やTVで「家族は大事に」とか訴えてきても、何ひとつ僕の心には響かない。

 ……そりゃあ、そうだろ…
 
 
 

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