以心伝心! 志氣高校 洋将棋部
 僕はカウンターに立って
 「アイス・トール・ラテ」
 と言った。慣れたものだ。「トール・サイズの『スターバックス・ラテ』をアイスで」とは言わない。
 世の中、情報化社会だ。たった三語で済む。
 「アイス」
 「トール」
 「ラテ」
  
 果たしてその慣れが何の役に立つか分からないけれど……。
 

 
 注文を言いながらも僕は、視線をガラス戸の外、パチンコ屋に並ぶ金髪の女の子へ向けていた。
 
 いつもの彼女だった。
 いつも彼女は1時間半も前にそこに立っている。(パチンコ屋は10時開店なので)彼女は僕と同じように厭世の影を曳いていると思う。でないとするならばタダの愚か者のどちらかだ。

 
 前者は不幸であり……まぁ、後者も不幸だろう。
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