結婚前夜〜Boy Friend〜《短》
「ねえ……もう明るいんですけど」
結局、閉店まで飲んでいた私達。
空はとても綺麗なグラデーションに染まっていて、太陽が少しだけ顔を出していた。
「なあ、アキホの家行ってもいいだろ?」
自分の家で寝たら起きられる自信がないし、どうせアキホと一緒に行くんだから。
と、ぶつぶつ呟くジン。
どうやら式場には、私の家で眠ってから、私と一緒に行くつもりらしい。
どこの世界に、女の家で眠った後、女と式場に行く花婿がいるのだろうか?
だけど、ジンに常識を求めても無駄だ。
「私も少し寝るから。掛け布団、奪わないでよね?」
暖かくなってきたとはいえ、まだ肌寒い。
こんな季節に掛け布団を奪われたら、風邪をひいてしまう。
ジンはわかっているのか、わかっていないのか、曖昧な返事をした。