結婚前夜〜Boy Friend〜《短》
だけど……有り得ない。
結婚前夜にお酒を飲むカップルなんて。
しかも別々の場所で。
私は痛むこめかみを、ぐっと押さえた。
「ほら、まあ飲めよ。今日は奢ってやるから」
そう、私の前に差し出されたのは、甘ったるいカルーアミルク。
私が唯一摂取出来る甘いモノ。
“甘いモノでも飲んで落ち着け”
このカルーアミルクに隠された意味を理解した私は、黙ってそれを摂取する。
……本当は明日着る予定のドレスに負けないよう、肌のメンテナンスをして早く寝ようと思っていたけれど。
それが叶わないのなら。
ジンを後悔させるほど、飲んでやる。
私はカルーアミルクを一気に飲み干した。