トップシークレット

｢おいケンジ！お前少し上手いからってちょーし乗ってんじゃねーぞ！｣

そういうと、男は自分の拳を振り上げた。ケンジは｢殴れよ｣と言わんばかりに男を睨み付ける。そして男が拳を振り下ろそうとした瞬間、横から入ってきた大きな手でその腕は掴まれた。デカだった。

｢ヤマシタ！手を出すのは許さ……｣

その男、ヤマシタにデカがそう言い掛けた時、何かがものすごいスピードでケンジに馬乗りしていたヤマシタにぶつかる。気付くとケンジの同級であるタカギがヤマシタを吹っ飛ばし馬乗りになっていた。

｢ケンジに手を出すな｣　　
タカギの腕はヤマシタの胸ぐらを掴み、ヤマシタの顔を自分の顔に引き寄せるようにして言った。

｢タカギ、もうよせ。帰るぞ。それとデカさん、今日でサッカー部を退部します｣

倒れていたケンジがダルそうに立ち上がり、身体についた土を払い落としながら言った。鈴虫たちが、申し訳なさそうに再び鳴き始める。