トリッティーの壁から手
コツコツ、コツコツ
……。
コツコツ、コツコツ
夜の静けさ、もう僕と後ろの変な奴だけの町。
僕はあることに気づいていた。
「なぁー、もういいだろう?チャールズ」
程なくして少年が僕の名前を口にし出したのだ。
「チャールズ〜」
なんで知ってる?
調べた?
なんで?
目的があるのか??
頭の中に次々に浮かぶ疑問に不快感、そして恐怖……。
コツコツコツコツ
これは僕のブーツの音だ。
コツコツコツコツ
そう、僕だけの……
なんで後ろに足音が聞こえない?
声に神経がいって今まで気づかなかったけど、あきらかに無音だ。
ため息やおちょくるような声、だけ。
少しも歩く音がしない……。
集中して耳をすませても、砂利の音も、衣の擦れる音もない……なんで?
なんで?
背筋に嫌な悪寒がはりつき、逃げる為に足を動かしているようだった。