トリッティーの壁から手



コツコツ、コツコツ




……。




コツコツ、コツコツ






夜の静けさ、もう僕と後ろの変な奴だけの町。




僕はあることに気づいていた。










「なぁー、もういいだろう?チャールズ」







程なくして少年が僕の名前を口にし出したのだ。




「チャールズ〜」




なんで知ってる?


調べた?


なんで?



目的があるのか??






頭の中に次々に浮かぶ疑問に不快感、そして恐怖……。




コツコツコツコツ




これは僕のブーツの音だ。


コツコツコツコツ



そう、僕だけの……




なんで後ろに足音が聞こえない?




声に神経がいって今まで気づかなかったけど、あきらかに無音だ。




ため息やおちょくるような声、だけ。




少しも歩く音がしない……。



集中して耳をすませても、砂利の音も、衣の擦れる音もない……なんで?


なんで?



背筋に嫌な悪寒がはりつき、逃げる為に足を動かしているようだった。


< 14 / 92 >

この作品をシェア

pagetop