トリッティーの壁から手
ハア、ハア、ハア……
ここまで来れば、大丈夫かな……?
ドクンドクン
煩いくらいに体を脈打つそれに手を当て、チャールズは膝を曲げて立ち止まった。
息が苦しい、寒さで顔も痛い、額に髪がはりついて気持ち悪い……なんだって今日は走ってばかりなんだ。
チャールズは心の中で悪態をつきながら息を整えようと深呼吸を繰り返す。
すると
ザリッー。
砂利を砕く音。
目の端に大きな革靴が目についた。
チャールズの心臓がドキリと大きく跳ね上がった。