トリッティーの壁から手
「それで、なんで迷子になったかな?少年」
細身の長身が口の端を上げてわざとチャールズに訊ねてきた。
「そうだな、是非とも聞きたい。あと名前と住所、家の電話番号もな」
体格のいい男は腕をガッチリ掴み、もがいても逃げられそうにない力の差を感じさせた。
「いえ……別に……お巡りさんが睨むから、それに僕は帰ろうとしただけで」
チャールズの口からは、もはや子供騙しの言い訳しか紡ぎだせず、持っているビニールの袋をギュッと握りしめるしか出来なかった。
しかし、そんなみえすいた言い訳をすればする程楽しむ人間もいるわけで。
「そうか、なら一時間以上も遠いい場所に住んでるみたいだな」
長身の男だ。
これみよがしに腕時計を見ながらとぼけた口調で言った。
「そうみたい……、でも大丈夫、あとちょっとだから僕一人で帰れます」
「いやいや、ここのところの事件は知ってるだろ?近くでも、家に入るまで危ないんだ」
ね!、と爽やかな笑顔で目線を合わせる警官がなんとも憎たらしい!