トリッティーの壁から手
よくよくみると、目の前の子供は少し大きめの燕尾服に白いホワイトタイ、タイに雪の結晶を思わせる輝くアクセサリー。
どんな原理で発光しているか解らないが、簡単にいうと、とても高そうだ。
そして頭にはシルクハットに小さな花束を咲かせ、奇妙なバランスを醸し出している。
しかしなんで
「君、ひとつ聞いていいか?」
若い警官は聞かずにはいられなかった。
だってそうだろう?
こんな今時の少年が好みそうにない、しかも燕尾服などきるなんて……自分が子供の頃はペンギンみたいだと笑ったもんだ。
「なんで、そんな服着てるんだ?パーティーでもあったのか?」
警官はただ興味本意に口にした。
それだけだった。