トリッティーの壁から手




「チャールズといったかな?」



突然、チャールズの腕を掴んでいた警官が声をかけてきた。



チャールズはドキリとしながら


「は、はい」


と小さく返事をした。



返事に満足した警官は優しく笑むと
「後ろにいなさい」

そう言って、腕を解放し前に一歩進みでていく。




警官の壁のように大きく分厚い背中は頼もしかったが、視界に入っては消えてくれない不可解な少年に動悸が治まらない。





いや、これは……




チャールズは自身すら気づかないうちに覚悟をしていたのかもしれない。





声をあらげた警官の背中を一点に見ながら




その姿が倒れる前に。





冷たい地面はとても固くて眠るには寒すぎるだろう。



チャールズの目の前に意識を無くした大人が二人、それはそれはすやすやと寝息を立てるほど気持ち良さげに眠ってしまった。






コツンー。






地面に音がひとつ響いた。


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