トリッティーの壁から手



最初に飛び込んだのは、目も眩むエメラルドグリーン。






ただの青でも緑でもない、頭がクラリと揺れて、感覚を歪ませる気持ちの悪い色に見えた。







ただそれが、小さく見えたのなら良かったのだが、チャールズのいる場所は上も下も右も左もどこもかしこもそれに染まりきっていたのだ。







気持ちが……悪い。













チャールズは知らず知らずのうちに手元にあった真っ白なシーツを握りしめていた。



体に訴えかける独特な色に一瞬で酔ってしまったのだ。




胃の中がグッと縮むのを感じて訳の解らない部屋を瞼でシャットアウトする、視界いっぱいに飲み込んだ悪夢のような目覚めを、少しでも落ち着ける為に。




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