トリッティーの壁から手
「ねぇねぇ……その子どうしたの?生きてるの?泣いてるの?」
囁く声が上の方からチャールズに向かって問いかけられた。
小さく小さく呟いているにも関わらず、鼓膜に直接吹き込んで頭を揺らす鳥のさえずり。
ねぇねぇ
独特のテンポに問いかけと含まれた毒々しさ、チャールズを震えさせるには十分だった。
しかし、チャールズは今の状況を理解しなければならない。
そう、彼は意思をもって今まさに、震えるほど現実を感じているのだから。