トリッティーの壁から手
インディゴ色が家屋のさらに上を埋め尽くしている。
徐々に徐々に色を足しながら黒に染めようとする、その前には終わらせなければ。
風が冷たく、水をぶちまかれたように芯から冷えてきた。
僕は逃げるように近所の店に入ると、手に荷物を作ってまた石畳を踏み歩いた。
コツコツ、ブーツの音が急げと促すが走るのはなんだか恥ずかしかった。
どうせ母さんは遅くに帰ってくる、そして心底反省したように謝るのだ。
何度それを経験したか……母さんは気づかないでいる。