トリッティーの壁から手
エメラルドグリーンに染まる部屋、それだけでも心臓が浮いたようにゾクッとするのに
チャールズはというと目の前、高い段差上の天使から目が離せない。
本当にそこにいるのか?
あまりに現実離れした存在を確かに認識しているのに、目を離してしまえば消える危うさ。
「君は……誰?」
チャールズは口に出した。
とてもとても大事そうに。
「わたし?」
タンポポみたいに飛んでってしまいそうだ……。
チャールズには今自らの身に起こっているこの状況やこの場所、そんなもの全て頭にないように彼女を見上げる。
フカフカのベッドいることも、腕から登ってきている何かにも気づかずに。