トリッティーの壁から手




どこにいる?





「やめて、つぶれちゃう!!」



「やめて、つぶされちゃう!!」



「はは、一緒にはねてるんだから大丈夫さ!」



どこが大丈夫なのか分らないが、どうやらなにかはあのベッドで跳ねているみたいだ……




チャールズが少しの好奇心に動かされたときだった。










「トリィ、主役が置いてけぼりだ」





「ぅあ?!」



突然、今まで跳ねていた少年の体がグンッ、とベッドに引き寄せられ、叩き落されたように遊びが中断されてしまったのだ。






スプリングももう跳ねない、むしろ押さえつけられた体をバタバタさせる少年がそこにいる。



「トリッティー、二人にも謝るんだ」



見えないが、確かに声がする。


大人の落ち着いた低い声、さながら小さな子供に言い聞かせる静止の声。



「放せよ、僕は今が楽しいんだ」



トリッティーのひねくれた返答にため息がはかれ、またスプリングが鳴いたときには憎たらしい声も小さな悲鳴に変わっていた。



どうやら見えないなにかに、また体を強く押さえつけられたようだ。



チャールズはその光景をただただ見つめていた。



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