トリッティーの壁から手
その時だったー。









「……なにか言ったか?」


低い声がベッドに押さえられた少年に向かってしゃべった。




しかしトリッティーは痛さに涙ぐんだままに
「いったいっていってんだろ!!」
とわめくものだから相手にもならない。





声が尋ねたそれは他の答えを求めていたから。






その答えはすぐにやってくるのだが、声だけの男は知るはずもなく、またトリッティーに向かってだろう小言を静かに吐き出した。





< 57 / 92 >

この作品をシェア

pagetop