トリッティーの壁から手
なんてあっさり、説教をところかまわずたれるアイツでも止めてしまうのか。
「なんだつまらない」
天井近くのマレイネスがそう呟いたとしても、平坦な床にいる者たちには聞こえなかった。
二人を除いては……いや、二粒に見えてしまうかな?
「まったく、手がちぎれるかと思ったよ」
「ちぎれてないだろ、余計な心配を口に出すな」
間髪いれずにトリッティーの言葉は否定される。
ベッドに腰かけたトリッティーは赤くなった手首を痛そうにさすった。
チャールズも目の前に座るトリッティーの手首を見ていたが、なにも声をかけないでいた。
棒立ちになり、少しばかりの後悔。
あのまま出口を探して逃げればよかったんじゃないか?
自分を無理やり連れてきた奴に「やめて」なんて、仲間割れを制する行動はおかしくないか?
もんもんと、絶え間ない後悔、自信を振り返る。
しかし、チャールズの思考を止めたのは目の前のトリッティーだった。