トリッティーの壁から手



チャールズは何故だか自分が恥ずかしくなり視線をエメラルドグリーンの床や壁にそらすと、あっという間に意地の悪そうな顔がにやりと顔をゆるめてみせてきた。






「へへ……チャスも成長したなぁー」



それは少しばかり上目線で、子供に語るようでいて、僕のなにを知っているのかと問いたくなるような。




ブラウンの瞳が見開かれた先には、立ち上がった身長を比べたって同じくらい、同じ目線。

だけど明らかに違うのは映画にでてきそうな古い型のスーツを着こんで、輝くブローチをスカーフの留め具に、黒い髪と目を持ったトリッティーなんて変な名前の少年。




あとはノッポのハットに咲かせた派手なお花たちかな。




「思ってたんだけどさ」




「ん、なんだいチャス」




チャールズの声は小さかったがはっきり部屋に響いた。












「僕のことなんで知ってるの?」







それは簡単でいて難しい問題。




誘拐のはずなんだろうが聞きたい衝動が自然に口にでた。


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