トリッティーの壁から手
「……ははっ、知ってるよーチャスのことどんどん思いだしてるから」
「思いだしてる?」
予想とは大きくはずれたその答え。
会った記憶なんてないのに、なつっこい無邪気な笑顔。
「どういうこと?」
その言葉を待っていた!!
とばかりにトリッティーが声をたてて笑えば、チャールズが瞬きをした一瞬のうちにトリッティーが差し出してきた。
「これは君の物語」
さぁ、受け取って。
訳のわからないまま手にした大きく分厚い、とても汚く埃のかぶった崩れてしまいそうに朽ちた本。
重そうな外見とは違って驚くほど軽く、持っているのか一瞬わからなかった。