トリッティーの壁から手
「これはなに?」
聞けばニコニコ笑って少年は答える。
僕もなんで素直に受け取っているのだろうか……?
「チャスの本だよ」
「「大事にしてね!!」」
「無くさないようにね、ブラウン……だったかしら?」
「大丈夫、俺が守るさ」
え?え?
チャールズは驚きに目を大きくする。
赤いベッドの周り、白い羽が景色を変えたようだった。
綿毛を揺らして微笑む肖像画のような女。
見えないがはっきりと口にする見えない男。
こちらも見えない、二重に声を発する二人に
幼い顔で歯を見せて笑ったトリッティー。