トリッティーの壁から手
「……ここは」
路上に寝転ぶ二人の大きな体。
瞼を開いたはいいものの状況がいまいちつかめない。
頬に、全身にあたる固くて冷たくてゴツゴツした感触のそれはベッドではなかった。
隣で寝ているはずの妻もいない……悪夢じゃなけりゃ、若い同僚のアレスがヨダレを垂らして寝ているようにみえた。
「うん……」
起き上がってみると、案の定、大柄なその体は縛り付けられていたように全身痛かった。
それとも体重のせいか?
ボウッとする頭に痛む体、立てなくもないが四つん這いで同僚の元へ向かった。
「いたた……おい、アレス、おい起きろ」
肩を揺さぶり、一応ばかし怪我はないようだ。