トリッティーの壁から手



「しかし……」



なんだってこんな所で寝ていたのか、男は首を回して辺りを見詰めた。



もうすっかり空は闇で、いつの間にかでてきた雲に星も月も地上に降り注がれるはずだった光は遮断されていた。


街灯ばかりが頼りで、耳には静かな風に遠くで鳥がゆっくり鳴いている。



この町も静かになったもんだ。



のんきにそんなことを考えていると突然けたたましい機械音が鳴り響いた。



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